多気郡多気地区では、新しい品目の取組みの目的と農家が高齢化し、何も栽培されていない田んぼや畑を有効に利用しようと、加工用トマトの栽培を今年から始めた。
きっかけは、JA多気郡の浦田和彦営農指導員が、昨年多気町農事法人四疋田営農組合の三谷定美代表理事に提案したこと。四疋田地区の中井憲次さんと釜谷政佑さんは、会社を定年退職してから何かを始めたいと考えていたため、浦田営農指導員の提案を受け、自営業の中西貞文さん、三谷代表理事と四疋田トマト部会を立ち上げた。4人は昔から何でも言い合えるという竹馬の友だという。
同営農組合の9アールの畑は、排水もよくトマト作りには最適の畑。牛糞などの堆肥をやる土作りから始め、マルチをはってパイプをアーチ状に刺していく。仕事は重労働だが、5月上旬にはJAから仕入れた加工用トマト専用品種「夏の旬」を植え水をやった。1ヶ月で苗は大きく成長し、黄色い花を咲かせた。
会社に長く勤めていたメンバーは「重労働の上、鍬の使い方も農薬や肥料のやり方、土のかけ方も何もわからなかった。全てJAで指導してもらっている。今では朝起きてすぐこのトマト畑に来て成長ぶりをみるのが何よりの楽しみ」と笑顔で話す。今後の課題については「害虫や病気の問題がこれから出てくるだろうが、勉強して克服していきたい」と意欲的だ。
同会の代表を務める中井さんは「私たちは、営利を目的とせず、自分たちの健康と楽しみのために作業をしている。来年にはもっと面積を増やし、定年して家にいる人にも参加してもらい、地域の絆作りの場にしていきたい」と意気込みを語った。
今年の出荷目標は5トンで、JAを通して愛知県にある食品加工会社に出荷される。